最近の車は、2WD車でも4輪が回転していないと車載の電子回路が何らかの車の異常を判定して走行不可にする車が増えています。そのため2WD車専用のシャシダイナモメータでは、排出ガス試験が行えないケースも増えています。
このような車の場合、JATAでは右図のような4WD車用シャシダイナモメータ設備を用いて排出ガス試験を行っています。
試験車をシャシダイナモメータ上に設置して、決められた走行パターンをシャシダイナモメータ上で運転し、走行区間中の総排出ガス量や走行区間ごとの排出ガス量を測定します。シャシダイナモメータ試験室は室温25℃、湿度55%となるように空調制御されます。排出ガス試験の前には、まず試験車重量に応じた等価慣性質量並びに走行抵抗(目標値)をシャシダイナモメータに設定します。その後、設定した走行抵抗値が試験車に正確に与えられか確認するために、シャシダイナモメータ上で試験車を惰行させて各速度域での減速時間を測定し、各車速域での抵抗値が目標走行抵抗の5%以内に入るようになるまでシャシダイナモの負荷を自動調整します。
ホットスタート試験の場合は、台上で十分な暖機走行を行った後にモード走行を行い排出ガス量を測定します。一方、コールドスタート試験の場合は、試験車を一晩放置してエンジンが冷えた状態からモード走行を開始し、モード走行中の排出ガス量を測定します。
モード走行中に排気管から出た排出ガスの総量はCVS装置に導入され、ここで希釈空気と均一に混合させた後、その一部を定流量でサンプリングしてバッグに捕集します。このバッグ中のガス中のCO,HC,NOxの各濃度及びCVSの総流量等から、各成分のモード排出量(g/km)を求めます。