自動車用品の性能試験

自動車用品の性能試験

 車両型式指定を受けた自動車の内装材については、難燃性試験を行って保安基準に適合した燃えにくい素材を判定されたものが使用されています。しかし、こうした車両をベースにして後から様々な形で手が加えられた改造車両(例えばキャンピングカーやキッチンカーなど)の場合は、ベース車とは異なる内装素材を使用して改装された車両では、国の基準に適合した燃えにくい素材が使用されているかどうかを確認するために、車両登録に際して難燃性試験を受けておく必要があります。もしも改造車で車両火災が発生した場合に乗員の火災安全性に大きな違いが生じる可能性があります。燃えにくい素材とそうでない素材では、万が一火が着いた時の燃焼速度に大きな差が生じます。自己消火性のある材料や燃焼速度が遅い材料が使われていれば、火災事故が発生した際に乗員が脱出・避難する上で有利となり、乗員被害を防ぐ確率が高まります。
 難燃性試験は、もともと自動車の内装材やシートなど車両の構成素材の燃えにくさを調べる安全性試験です。国が定めた基準(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示「別添27(内装材料の難燃性の技術基準」)に則ってJATAで試験することができます。

 JATAが実施する難燃性試験につきましては、以下の資料もご参照ください。

自動車用内装材料の難燃性試験

年少者用補助乗車装置用内装材料の難燃性試験

自動車内装材料の難燃性評価のための試験方法

自動車内装材料の難燃性能を調べるために、以下の方法で試験を行います。

難燃性試験の測定条件

難燃性試験は次の条件で行われます。
1.試験室の環境条件
 ①温度:20±5℃ ②湿度:65±20%
2.試験片の条件
 試験片を次に掲げる恒温槽に24時間保管。一定の状態とする。
 ①温度:20±5℃ ②湿度:50±5%
3.試験片の個数等:1種類の材質について計7個
 試験片は、同一の内装材料から切り出した同室の材料
 予備試験1個・試験用試験片5個全て試験・保管用1個
 試験片の寸法 長さ350㎜、幅100㎜、厚さ12㎜
4.燃焼試験装置:FMVSS規格に適合する試験装置(水平法)
5.着火炎
 ①バーナーの内径:9.5±0.5㎜
 ②燃焼用の燃料:天然ガス
 ③着火炎の高さを38㎜とし、試験片の自由端を中心を19㎜の位置に合わせ、少なくとも15秒間、炎を試験片に接触させる。

材料難燃性の試験装置としては、下図のような構造を備えた水平燃焼試験機を使用します。

燃焼性試験器の構造

 難燃性を調べるための材料の試験片を下図の専用治具に挟みこみ、それを上図の試験装置に水平にセットします。その後、試験片の開放側端部の底の中心から19mm下に持っていき、少なくとも15秒間炎に当てます。燃焼している試験片からの炎が、試験片の開放側端部から38mmの地点に到達した時点で、時間計測を開始します。
 その後、炎が試験片の固定した端部から、測定区間の端まで進むのに要した時間を計測します。なお炎が規定の端部に達しない場合には、炎が停止した地点まで進んだ時間を計測します。
 炎が進行した距離とその時間のデータから試験材料の燃焼速度(mm/分)を下式によって計算します。
 燃焼速度(mm/分)=60×炎が進行した距離:D(mm)/炎がD(mm)燃焼するのに要した時間(秒)
こうして求めた燃焼速度が、対象材料の難燃性の判定基準に使われます。

試験片を挟み込むための治具です。測定区間の標線がけがかれています。

難燃性試験結果に対する判定基準

1.試験成績表の記入方法
 ①標線Aに到達してないもの→「0」を記入
 ②標線Aに到達してから60秒以内に燃焼が停止し、かつ燃焼長さ50㎜未満のもの 「-」を記入
 ③上記以外のもの

B(燃焼速度㎜/分)=60*D(燃焼長さ㎜)/T(燃焼時間分)

2.判定基準(次のいずれかであること)
 A.不燃性:試験片5個全てが上記1の①である場合
 B.自己消化性:試験片5個全てが上記の②又は上記1の①、②である場合
 C.試験片5個の中で上記1の③がある場合は、燃焼速度の最大値が100㎜/分を超えないこと。