技術解説ー中・軽量車の燃費試験法と燃費基準 1
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1.中軽量車の燃費性能の評価試験方法
自動車の燃費は、車種やエンジンの違いだけではなく、搭載重量(乗員、貨物)や走り方、走行ルート、エンジンの暖機条件、アクセル・ギヤ操作等によっても大きく変わります。このうち車種別の燃費性能は、一定のルールのもとで公平に試験した結果で示されないと、車ごとの性能比較ができず、消費者が低燃費車を選択する際の判断材料になりません。
石油ショックを受けて昭和54年に制定され、その後平成11年に大改正された「エネルギー使用の合理化に関する法律」(省エネ法)では、エネルギーを多く消費する機器(特定機器)の省エネルギー性能の向上に関わる判断基準を定めて公表するように定められました。さらにこの法律に基づいて、国がエネルギー消費効率の評価方法や、製造事業者に求める基準が示されました。
自動車の燃費は車の商品性を左右する大きな要素なので、メーカーは全力で低燃費車の開発競争を行っています。こうした点から、自動車のエネルギー消費効率の評価(燃費試験)では、何よりも客観性、公平性が求められます。また測定される燃費値(公表値)がユーザーの車種選択の判断材料にもなるので、できるだけ平均的な車の使用条件を再現させた上で燃料消費量を測定する必要があります。こうした要件をもとに、国が燃費評価法を定めて、これに基づき各モデルの車の燃費を測定し公表しています。
それでは、最初に燃費評価の方法についてご紹介します。
(1) 燃費評価試験の概念と燃費表示
燃費試験は、対象車ごとに実走行する時にできるだけ近いエンジン条件を試験室で再現し、その際の燃料消費量を測定することになっています。ただ走行条件(速度変化)を統一しておかないと比較できませんので、都市内や郊外の平均的な走り方のデータを元に基準の走行モードが決められました。我が国で燃費評価試験で使われる走行モードは、JC08モードと呼ばれる下左図の走行パターンが長く使われていましたが、2017年夏以降は世界統一技術規則の走行モードとして定められた下右図のWLTCモードを導入することが決まったたことにより、自動車の燃費の表示方式が順次切り替えられていきます。
注)カーボンバランス法
ガソリンやLPガス、軽油、天然ガス等を燃料として用いる自動車では、炭素原子を含む排出ガス成分(CO2,COおよびHC)の排出重量を測定することにより、燃料消費率(燃費)を間接的に計算する手法をカーボンバランス式燃費測定法と呼びます。
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1.中軽量車の燃費性能の評価試験方法
自動車の燃費は、車種やエンジンの違いだけではなく、搭載重量(乗員、貨物)や走り方、走行ルート、エンジンの暖機条件、アクセル・ギヤ操作等によっても大きく変わります。このうち車種別の燃費性能は、一定のルールのもとで公平に試験した結果で示されないと、車ごとの性能比較ができず、消費者が低燃費車を選択する際の判断材料になりません。
石油ショックを受けて昭和54年に制定され、その後平成11年に大改正された「エネルギー使用の合理化に関する法律」(省エネ法)では、エネルギーを多く消費する機器(特定機器)の省エネルギー性能の向上に関わる判断基準を定めて公表するように定められました。さらにこの法律に基づいて、国がエネルギー消費効率の評価方法や、製造事業者に求める基準が示されました。
自動車の燃費は車の商品性を左右する大きな要素なので、メーカーは全力で低燃費車の開発競争を行っています。こうした点から、自動車のエネルギー消費効率の評価(燃費試験)では、何よりも客観性、公平性が求められます。また測定される燃費値(公表値)がユーザーの車種選択の判断材料にもなるので、できるだけ平均的な車の使用条件を再現させた上で燃料消費量を測定する必要があります。こうした要件をもとに、国が燃費評価法を定めて、これに基づき各モデルの車の燃費を測定し公表しています。
それでは、最初に燃費評価の方法についてご紹介します。
(1) 燃費評価試験の概念と燃費表示
燃費試験は、対象車ごとに実走行する時にできるだけ近いエンジン条件を試験室で再現し、その際の燃料消費量を測定することになっています。ただ走行条件(速度変化)を統一しておかないと比較できませんので、都市内や郊外の平均的な走り方のデータを元に基準の走行モードが決められました。我が国で燃費評価試験で使われる走行モードは、JC08モードと呼ばれる下左図の走行パターンが長く使われていましたが、2017年夏以降は世界統一技術規則の走行モードとして定められた下右図のWLTCモードを導入することが決まったたことにより、自動車の燃費の表示方式が順次切り替えられていきます。
実走行にできるだけ近い条件を試験室で再現させるには、速度変化だけでなくエンジン負荷も実走行時に合わせる必要があります。車が走行する時は、ころがり抵抗や空気抵抗がエンジン負荷となります。また加減速時は、車の[空車重量+積載物重量]による慣性力ならびにエンジンやタイヤなどの回転部分の慣性モーメントによる力(回転慣性力)が作用します。これらの抵抗力をシャシダイナモメータ上の試験車に与えるために、負荷条件を設定する必要があります。
そのためには以下の手順を行います。
①試験車の走行抵抗測定とシャシダイナモメータ装置に対する負荷設定
試験車を実際にテストコースで走らせて、車ごとに走行抵抗を測定します。具体的には、以下のような惰行試験による方法で各車速域でのころがり抵抗と空気抵抗を測定し、その値を無風、標準大気状態の値に補正した上で、シャシダイナモメータダイナモ試験用の走行抵抗値を設定します。
注)カーボンバランス法
ガソリンやLPガス、軽油、天然ガス等を燃料として用いる自動車では、炭素原子を含む排出ガス成分(CO2,COおよびHC)の排出重量を測定することにより、燃料消費率(燃費)を間接的に計算する手法をカーボンバランス式燃費測定法と呼びます。
本手法の原理から、炭素が含まれていない燃料を使用する自動車(水素燃料車-燃料電池車など)の燃費測定には適用することができません。
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