表 自動車用エネルギー源と利用形態、適用車種
このうち石油から作られたガソリン、軽油を燃料とするガソリン車、ディーゼル車は、19世紀から続く長い歴史と実績があり、今では車両性能、環境性能、共に高いレベルに達しています。さらに燃料供給インフラも十分に備わっています。こうした既存車両に対抗する形で出発した新燃料自動車は、各燃料の特質に応じた長所と短所を併せ持っています。長所にだけ目を向けるのではなく、短所といわれる面を技術的にどう克服し実用性を高めていくのか、既存燃料に比べて価格のハンディキャップがある燃料は制度的にどうやってその差を埋めるか、燃料供給インフラの不足をどのようにカバーしあるいは供給スタンドを普及させるのか等々について、具体的な対策検討が求められます。
さらに新燃料自動車を普及させるねらいと意義についても、十分な検討を行い、さらに利用者の理解を踏まえた総合的な取り組みを進めることが求められます。
2.自動車の動力源になりうるエネルギー源とその利用形態
現在の自動車燃料は大半がガソリンと軽油ですが、技術的に見れば下表に示すようにさまざまな一次エネルギーを利用する自動車が考えられます。この中には、実用段階に入り各地域で多く普及している圧縮天然ガス自動車(CNG車)から試作車両を使った試験走行段階のものまで、各種方式の自動車が存在しています。
・新燃料車を導入することで、地球温暖化防止対策(CO2削減)に実質的な効果が得られるのか
・大気汚染防止対策(NOx 等の排出防止)のための環境規制の効果を新燃料車が損なうことがないのか
・各車の用途に適した基本性能(出力等)を新燃料車が備えているのか
・自動車を維持・管理していく上で、整備性あるいは部品供給等に支障が生じないか
・必要な量の燃料が長期的・安定的に確保でき、かつ燃料供給体制にも問題がないか
・車両の円滑な運用を損ねない程度に燃料供給インフラが使用地域に配置されているか
・新燃料の調達コストが既存燃料を使うガソリン車、ディーゼル車にどの程度対抗できるのか
・燃料の品質や安定性に問題はないか。車両の整備性に問題が生じないか
・車両の安全性に対する配慮が十分になされている燃料なのか
・ライフ・サイクル・アセスメントの上で、新燃料車の使用がCO2の実質削減に役立つものなのか
等々1.新燃料自動車の普及施策において必要な検討事項
CO2の排出削減など環境問題に対する意識の高まりが世界的に広まり、また資源の節約、エネルギー源の多角化の観点からも、ガソリンや軽油以外の燃料を動力源にする新たなタイプの自動車(新燃料自動車)に注目が集まっています。しかしこうした新しい燃料を使う自動車を普及させるには、様々な課題を解決する必要があります。そこでは、総合的な視点に基づく検討や制度設計、そして実際的な普及戦略が重要となってきます。
新燃料車の普及戦略作りの視点として、以下の点を考慮し検討する必要があります。
新燃料自動車の動向のページでは、以下の内容を各々のページで解説しています。
(以下の各ページの青色のページ番号をクリックすると、直接そのページに飛ぶことができます)
P.1 : 1. 新燃料自動車の普及施策において必要な検討事項
2. 自動車の動力源になりうるエネルギー量とその利用形態
P.2 : 3. バイオ燃料の自動車分野への適用
・地球温暖化対策とバイオ燃料
P.3 : ・自動車で利用されるバイオ燃料の種類
P.4 : ・バイオエタノール燃料
P.5 : ・軽油代替バイオディーゼル燃料について
・FAME;メチルエステル化バイオディーゼル燃料(BDF)
・水素化植物油(HVO: Hydrotreated Vegetable Oil)
・木材、草等を原料にした合成軽油(BTL)
P.6: 4. 天然ガス自動車
5. ジメチルエーテル(DME)自動車
6. 水素燃料自動車