そこで、シャシダイナモ試験とエンジン単体試験の両方の要素を取り入れた第3の方法が試験研究機関によって開発され、その結果を受けて世界初の重量車用燃費評価法をわが国が制定することになりました。この方法の概念を下の図に示します。これは、車両搭載エンジンの燃費マップを実測し、これをパソコン上での仮想走行(JC08モード)でのエンジン使用域に適用して1秒ごとの燃料消費量を計算し、シミュレーション燃費(km/L)を求める手法です。次ページに具体的方法を説明します。
 一方、重量車の排出ガス試験(技術解説のこの項を参照)のように、エンジン単体を規定の条件で運転して、その際の燃料消費率を例えばg/kWhの単位で表示する方法が考えられます(下図の方法)。しかしこの手法では、結果的に燃費向上をエンジンだけに負担させることになり、また車体の軽量化など実際に燃費を左右する改善努力が結果に反映されない点や、 g/kWhという燃費表示の単位がユーザーには理解しにくいこと、車の実使用条件との関連性も不明確であるという問題がありました。

 まず考えられる燃費の試験方法として、下図のように大型車用のシャシダイナモメータでモード試験を行う方法があります。しかしこの方法では、大型のシャシダイナモメータを設備する必要があり、コストやスペース等の点で相当難点があります。また重量車は車種構成が多く、さらにベース車に対して車体形状や変速機のバリエーションが多いことから、すべての型式を個別に試験することは時間的制約など現実的に難しくなります。もともと重量車は、型式指定の車の割合が低いこと等から、シャシダイナモを用いて個別に燃費試験を実施することは現実的でないという指摘がありました。

1.重量車燃費評価法の技術的課題と解決策

 重量車の燃費は、車種、エンジン、車両重量、貨物積載量、走り方、走行ルート、道路勾配、暖機条件、運転操作などによって影響されます。このうち車両の燃費性能を比較するためには、統一された試験方法で測定された判断規準が必要になります。
 石油ショックを受けて昭和54年に制定され、その後平成11年に大改正された「エネルギー使用の合理化に関する法律」(省エネ法)では、エネルギーを多く消費する機器(特定機器)の省エネルギー性能の向上に関わる判断基準を定めて公表するように定められました。また、この法律に基づいてエネルギー消費効率の評価方法や、製造事業者に求める基準を国が示しました。
 シャシダイナモメータを使ってモード燃費を測定する乗用車など中軽量自動車に関しては、既に燃費試験方法が定められ、それに基づき燃費基準も早い段階で示されました。一方、用途が非常に幅広い重量車では、下図のように車種も多彩で、車の形状、エンジン、変速機、車輪数などの組み合わせが多岐に渡るため、車両モデル数が必然的に多くなります。このため個別車両ごとに燃費試験を実施してその結果を公表する中軽量車のような制度を、重量車で実現するには問題がありました。
 そこで重量車(車両総重量3.5トン超)に適した燃費評価方法のあり方について、中立の試験研究機関による研究成果を踏まえて、実施可能な評価制度を策定するため、国交省、経産省を中心にした審議会のもとで具体的検討が進められてきました。



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技術解説

技術解説ー重量車の燃費試験法と燃費基準 1

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