1.自動車排出ガス性能の評価方法
 わが国の排出ガス規制では、乗用車や車両総重量3.5トン以下の貨物車、バスはシャシダイナモメータを使って車両ベースでモード試験を行い、1kmあたりの排出ガス量を測定して規定値以下であることが求められています。
 一方、車両総重量が3.5トンを超える重量車については、エンジン単体を対象にして排出ガス試験を行うように定められています。重量車用の試験モードでは、対象車両に対応してエンジンの負荷、回転数の条件を定めた試験サイクルをエンジンベンチ上で運転してその時に排出されるCO,HC,NOx、及びPMの排出量をg/kWhの単位で表し、規制することになっています。






 重量車であっても、個々の車の排出ガス量は上左の図に示すような専用のシャシダイナモメータ設備があれば測定は可能です。しかし大型車の出力条件に対応した動力吸収設備を持つシャシダイナモ設備は設置コストがかさむ上に、広いスペースも必要になります。さらにトラックなど重量車は、車重やサイズ、エンジンや変速機などの組み合わせが多種多様でモデル数も多く、それらを逐一車両ベースで排出ガス測定をするとなると試験数が膨大になるので、規制制度を運用する上では現実的な試験法とはいえません。
 このため、世界各国でも重量車の排出ガスは従来からエンジンベースで試験し、その測定結果に対して規制値が定められていました。重量車の試験方法としては、わが国ではかつては6モードや13モードといった定常運転条件で排出ガス試験を行っていましたが、排気対策として触媒装置やDPF装置などの後処理装置が使われるようになってくると、それまでの定常運転による試験方法では加減速を伴う実使用条件下の排出ガス特性が反映されないとの認識が生まれました。そこで中央環境審議会第五次答申(2002年4月)ではJE05モードと呼ばれるようになるトランジェント(過渡)試験モードの導入が提言されました。このJE05モード試験法に基づき、新長期目標以降の規制値が定められ規制強化が行われてきました。
 一方、基準(試験法等)が各国で異なっていると、国際商品である自動車の輸出入の非関税障壁になる上に、メーカーの開発経費の増大につながることから、試験法の国際世界統一について、わが国も参画した国連欧州経済委員会自動車規準調和世界フォーラム(UN-ECE/WP29)で議論が行われ、最終的に世界統一試験サイクルのWHTC(World Harmonized Transient Cycle)が策定されました。中央環境審議会第十次答申(2010年7月)を受けて、このWHTC試験法をわが国に導入して重量車の排出ガス規制を行うことが決まりました。第十次答申とわが国が導入するWHTC試験法の概要については、次ページ以降で解説します。

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技術解説

技術解説ー重量車の排出ガス規制及び試験法1

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