排出ガス分析計で測定した希釈ガス濃度データ、希釈空気中の成分濃度(バックグラウンド)とCVSの流量演算結果や試験室温度、湿度などから、モード走行時の排出量データ(g/km)を専用のPCを用いて計算します。なおシステムに組み込まれているPCは、試験中は分析計やCVSを試験手順にしたがって自動的にコントロールします。排出ガス量の演算結果は、専用書式の帳票でプリントアウトされます。
また試験中は、希釈ガス濃度を連続的に分析し、各成分の濃度変化や車速などをペンレコーダに記録しモニターします。CVS装置により採取した希釈ガス中の有害ガス成分(CO,THC,NOx)の成分濃度を測定する装置です。各成分の希釈ガス濃度平均値とモード中のCVSの総流量の積に成分密度をかけたものが、各成分の排出ガス質量になります。ここから希釈空気中に含まれていた対象成分の量を差し引くことで、自動車から排出されたガス成分の質量を求めます。
排出ガス成分のうちのCOとCO2は、赤外線方式(NDIR)で、HCは炭化水素炎イオン化分析計(FID)で、そしてNOxは窒素酸化物化学発光分析計(CLD)により分析されます。
自動車排出ガスの総排出質量を算出するため、試験車の排気管から出た排出ガスの全量をCVS装置に導入し、ここで希釈空気と均一に混合させて希釈する装置です。CVS装置では、〔排出ガス+希釈空気〕の合計が常に一定値になるように制御することが重要で、このため希釈混合ガスを臨界流ベンチュリを介して強力なポンプで吸引します。さらにベンチュリに入る希釈ガスの温度をコントロールする装置や温度、圧力を計測し、それらからモード試験中の希釈ガスの総流量を演算で求める機能等を備えています。
希釈率を望ましい範囲に収めるため、エンジン排気量や試験モードの種類に応じて、臨界流ベンチを自動交換できる装置を備えている場合もあります。