さらに重量車に高度な排出ガス対策技術が開発、導入されることに伴い、使用過程時においても、個々の自動車の排出ガス低減性能を確保する観点から、各種センサー等により後処理装置の排出ガス低減装置の性能劣化等を検出する、より高度なOBDシステムを導入することも提言されました。
下の図は、実使用環境下における重量車の排出ガス低減確保のために導入される施策の体系をまとめて示したものです。規制の強化に対応して排出ガス、粒子状物質(PM)のいっそうの低減が要求されています。これを実現するために、エンジンでの燃焼制御及び排気後処理装置の技術が複雑・高度化しそれらの制御方法もデジタル技術により運転条件に応じてより緻密にコントロールすることが必要になっています。
一方、排出ガス規制の前提となる試験サイクルに定められた試験条件以外の運転条件で排出ガス量が大きく増加してしまうと、排出ガス規制による環境対策の効果が減じられてしまう可能性があります。特に最新規制の排出ガスの低減目標値は、非常に低いレベルにあるため、特定の運転条件で排出ガス増大があると、仮にその発生頻度が少なくても、排出ガスの悪化量が大きくなれば、地域環境に及ぼす影響は無視できなくなります。
これを防ぐため中間審第十次答申では、過渡サイクルモードのWHTCに加えてUN-ECE/WP29において策定された定常サイクルである下表のWHSCもセットで実施することが決まりました。さらに定められた試験条件以外(オフサイクル)での極端な排出ガス増大を防ぐ観点から、次期排出ガス規制と同時に、WP29で策定したオフサイクル試験方法-OCE(OffCycle Emissions)が導入される見込みです。
7.実使用環境下における重量車の排出ガス低減確保のための対策の体系