①カーボンバランス法による連続測定法
特定の区間ごとの燃料消費率を求める必要がある時(モーダルマス解析)には、CVS希釈ガス濃度を連続的に測定して、カーボンバランス法の原理により対象区間の燃料消費量を算出することができます。ただし区間長が短い場合には、連続分析したガス成分濃度には測定応答遅れの影響が含まれるため、区間消費量の分離がやや不明確になります。
②燃料流量直接測定法
排出ガス量計測j設備が無い場合は、容積式などの燃料流量計を試験車の燃料供給ラインに組み込んで、燃料の総消費量や瞬時流量などを測定することができます。リターン燃料がある車の場合は、その処理も必要です。流量計を試験車に組み込む際は、燃料の温度・圧力が通常の状態から変わらないように工夫して、エンジンに影響を与えない配慮が必要です。
③消費燃料の重量変化の直接測定
水素燃料のように燃料中に炭素原子を含まないものは、カーボンバランス法が使えません。その代わりとしてモード試験前後の燃料容器の重量変化を精密に測定することで、燃料の総消費量を測定する方法もあります。
④間接計測・演算法
吸入空気(A)の重量と空燃比(A/F)を専用のセンサを使って連続測定し、両者の値から燃料(F) の量を計算で求める方法などがあります。
⑤燃料噴射弁開時間の測定による演算法
エンジンに燃料を供給する燃料噴射弁の開閉間隔(時間)を測定することにより、計算により間接的に燃料消費量を割り出す測定法です。実路走行時のように専用の計測器が搭載できない条件では、この方法が多く使われています。車自身にこの燃費機能を搭載し、運転席に表示する機能を備えた車両も最近は多くなっています。
⑥その他
注)カーボンバランス法
ガソリンやLPガス、軽油を燃料として用いる自動車において、炭素原子を含む排出ガス成分(CO2,COおよびHC)の重量を測定して、燃料消費率(燃費)を計算する方法。
カーボンバランス法は、その原理から炭素が含まれる燃料を使用する自動車の燃費測定に適用できます。
②試験室でのモード走行による燃料消費率の測定
自動車の燃費試験では、前ページ①の負荷設定を行ったシャシダイナモメータ上で試験車に規定のモードを走行させて、その際の燃料総消費量をカーボンバランス法注)によって測定し、燃料1リットルあたりの走行距離に換算します。なお試験時のエンジン暖機条件としては、JC08モード試験ではエンジンが冷えた状態から運転を開始するコールドスタート試験と、エンジンを十分に暖機してからモード走行するホットスタートの両条件に分けて測定します。
両方の測定結果に対して、コールドスタート燃費値が1,ホットスタート燃費値が3の割合で重み付けした数値をJC08モードの公称燃費とするように定められています。一方、平成30年10月以降に発売される新型車については、JC08モードから国際統一技術規則のWLTCモードによる燃費試験で燃費測定に全面的に切り替わることになりました。この試験では、エンジンが冷えた状態からモード走行を行い(コールドスタート試験)、WLTCモード走行時の全体燃費(WLTCモード燃費)を測定します。このほかにWLTCの中の3つのフェーズすなわち低速(L)、中速(M)、高速(H)の各フェーズごとの燃費値(LMH燃費)も個別に測定し、その結果をカタログ等に表示することになっています。