・WLTCモード : 市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分でした国際的な走行モード
・市街地モード : 信号や渋滞当の影響を受ける比較的低速な走行を想定
・郊外モード : 信号や渋滞当の影響をあまり受けない走行を想定
・高速道路モード: 高速道路等での走行を想定
ユーザーの車の使用状況に応じてより燃費性能に優れた自動車を選択することが、国全体としての燃料消費量の節減に有効と考えられます。そのためには、走行環境等に応じた燃費を比較できるようにすることが有効です。そのひとつの方法として、下図のWLTCモードにおける各フェーズ(低速域(市街地)-L、中速域(郊外)-M,拘束域(高速道路)-H)の各燃費(LMH燃費)を表示する制度の導入が決まりました。なお、この表示制度はWLTCモードで国土交通大臣が燃費を算定した自動車が対象となり、WLTCモード燃費(コンバイン)に加えて、LMH燃費の個々の値を表示することになります。
○LMH燃費値表示制度の導入
WLTP 燃費試験の導入に併せて、一定の条件を満たす車両のグループ(ファミリー)の中で最も良い車の燃費値と最も悪い車の燃費値をそれぞれ実測した結果を使って、ファミリー内の個々の車両の燃費値を走行エネルギーの違いに基づく補間計算によって演算で求める方法が認められました。これにより、製造事業者等は燃費試験の簡素化を図ることができるようになりました。
○コンバインドアプローチ(補間法)の導入
国際統一技術規則であるWLTP燃費試験法 の導入にあたって、車の表示事項等においてもWLTCモード燃費値の表示を早期に導入する施策がとられています。すなわち新型車における排出ガス試験がWLTPに変わる2018年内(ガソリン中菱貨物車等は2019年内)の段階では、WLTCモード燃費値及びJC08モード燃費値を表示することになりました。ただしそのうちの片方の燃費値だけを取得している車両については、その表示だけでもよいという扱いになります。
さらに2018年より前でも、WLTCモード燃費値での表示も可能になっています。
○燃費表示におけるWLTCモード燃費値の導入
一方、自動車に係る大気環境の改善などを国際的に促進する観点から、国連において乗用自動車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(以下、「WLTP」(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)が策定され、2014年3 月に世界統一技術規則(「GTR」(Global Technical Regulation))として成立しました。
燃費に係る試験サイクル・試験法の国際基準調和をはかることで、国際競争をかけた各メーカーの技術開発等により、燃費改善の一層の進展が期待されます。また試験方法の国際調和は、開発コストの効率化にも役立つと考えられます。こうした観点から、我が国においてもWLTP燃費試験法の早期導入が求められていました。
一方では、JC08モード燃費測定に基づく2020年度燃費基準も既に設定されています。そこで既存の燃費基準のベースとなるJC08 モード燃費基準値に対して、その基準値が適用される車両がWLTCモード試験法で測定された場合の 燃費値を、製造事業者等における燃費準の達成判定においても使用できるようにする下記の措置も決まりました。
なお、排出ガス規制に関しては、2015年2 月の中央環境審議会第12次答申において、排出ガス試験法としてWLTP試験法 を導入することが提言されています。
6.WLTP燃費試験法の導入