③ 4WD車用シャシダイナモメータの性能評価ツール
(1) 前後のローラが常に等速回転するように制御されているか
(路上走行時と同様に、4WD車の制御動作に異常を与えない程度に)
(2)シャシダイナモメータ側から、前後輪に対する合計負荷(慣性抵抗、メカロス補償後の走行抵抗)がTRIASの基準通りに与えられているか。 (2WD車と同程度に)
自動車技術会では、電気慣性シャシダイナモメータの性能評価の手法とともに4WDシャシダイナモメータの性能要件についても検討を進めてきました。その結果を2011年3月に自動車規格(JASO E011)として取りまとめました。 なお、この規格は2014年度に排出ガス・燃費試験用シャシダイナモの新しい規格JASO E014に統合されました。
以下のその概要を説明します。 4WDシャシダイナモメータの性能評価のポイントは、以下の(1)と(2)となります。
② 4WD車用シャシダイナモメータの機能検証のための基準の考え方
4WD車の排出ガス・燃費試験は、各国で車両を2駆状態に改造して2WDシャシダイナモメータ上でモード試験を実施する方法が多く使われてきました。しかしこの方法では、以下の問題があります。
*制御システム搭載の4WD車の中には、2駆機構への改造や制御システムの変更が困難な車両が多い。
→なお試験車両を開発・製造したメーカーであれば、組み込み制御ソフトウェアの改造も含めて、4WD車を2輪駆動の状態に変更する等の技術的対応は可能である。
*4WD車を2駆状態に改造して試験を行う際、実際の4駆走行時のエンジン負荷との同等性が保証されない。
→走行抵抗測定を4駆状態で測定し、これをシャシダイナモに設定して2駆状態で試験したとしても、タイヤ損失分や回転部相当の慣性質量が4輪駆動時とは異なるので、正確には同等性が得られるわけではない。
そのため、4WD車の排出ガス・燃費試験は4WD状態で行うことを義務付ける国が多くなった。
①4WD車の試験における現状の問題点