JASOーE014による電気慣性負荷吸収能力の検証方法
電気慣性式シャシダイナモメータは、慣性盤を使う機械式タイプとは異なり慣性力がダイナモメータから電気的に与えられ、しかもこの力は加減速時にのみ作用するため目視でその適否を確認することが難しいという問題がありました。そのためモード試験時に電気慣性による吸収負荷量が正確であったか、あるいは設備を長期間使用している過程でダイナモ側のトルク検出機能あるいは制御系に狂いが生じていないか等を確認・検証する評価法が必要でした。
下の図は10・15モード運転時を例にして、正負の電気慣性力が作用する領域を説明したものです。加速時はプラスの電気慣性力が車に作用(ダイナモ側が負荷を吸収)し、減速時はマイナスの電気慣性が作用(ローラ側からタイヤを回す力が与えられる)するので、ドライバーがブレーキ操作で減速させようとします。
最新の排出ガス・燃費試験(JC08モード、WLTCモード)では、実走行と同じように速度が刻々と変化する走行パターン(トランジェントモード)が使われるようになっていますが、この時に電気慣性の機能が適正に機能し適正な慣性力が与えられているかどうかを、試験の担当オペレータが判別することはかなり困難といえます。
5.排出ガス・燃費試験用シャシダイナモメータの性能要件、評価基準