左の図は、図中に示すJC08モードを走行した時の試験車(4WD車で駆動輪を2WDと4WDで選択可能な車)のタイヤ損失率(kJ/km)と動力伝達系の損失率を計算した結果です。通常の2WDの試験時は前輪が回転しない条件での値ですが、シャシダイが4WDモードの時は前輪も連れ回りします。
 タイヤ部分の損失率は3ページに示した先進タイヤ試験機によって算出したものです。車両全体の損失率はシャシダイナモのASR試験でのローラ駆動力から求め、そこからタイヤ損失率を引いたものが動力伝達ロス分になります。この結果から転がり抵抗による損失の約60%をタイヤ損失が占めていることがわかります。

研究成果の一例の紹介(2014年自動車技術会においてJATAが発表)

→ 車両側のモード総損失量

Σ[前後ローラ表面力合計値(N)×ローラ速度(m/sec)]

 この方法は、上の図のように比較タイヤにそれぞれ付け替えた試験車に対して、シャシダイナモのASR指令により、JC08モード等の速度変化をローラ側から車に与えて、その時の前後ローラ表面力を計測しモード区間で積算することにより、モード走行時の車両の全走行抵抗を求めるものです。なおこの方法で求めたタイヤ損失は、エンジン駆動力がタイヤに伝わらない条件での値です。

 本手法でもタイヤ単体の損失量を直接求めることはできませんが、
基準タイヤとの相対差は算出できますので、結果的に実走行時のよう
な加減速運転をさせた時のタイヤの損失特性を比較することができます。

②シャシダイナモASR駆動&ローラ表面力測定によるモード走行時のタイヤ損失量の比較分析

 これは4WDシャシダイナモメータに試験車を設置し、基準タイヤと比較タイヤをそれぞれ4輪とも付け替えて、台上惰行での減速時間あるいはシャシダイナモのローラ側からタイヤを回した時のローラ表面力の測定結果から、前後各輪の合計の車両側抵抗力を求め、基準タイヤと比較タイヤの間のタイヤ損失量を比較する方法です。

 車両側の全抵抗(動力伝達系抵抗とタイヤ4輪分の損失抵抗の合計)は、シャシダイナモ上の惰行試験あるいはシャシダイナモのローラをASR制御で回転させる時のローラ表面力等から計算で求めることができます。この方法では、4輪個々のタイヤ損失を直接求めることはできませんが、基準タイヤとの相対差(4輪分)は算出できますので、結果的にタイヤ間の損失特性の比較が行えます。

①シャシダイナモメータによるタイヤ損失量の比較測定法

5.タイヤの損失特性を比較評価するためのその他の方法

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技術解説

技術解説ー自動車用タイヤの低燃費性とその評価方法について5
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