ディーゼル車の試験では、粒子状物質(PM)の排出量も測定することになっているため、CVS装置の代わりに稀釈トンネルを用います。ディーゼル車の排気管から出た排出ガスの総量を稀釈トンネルに導入し、ここで清浄化された希釈用の新鮮空気と均一に混合させて希釈します。この稀釈トンネルでも〔排出ガス+希釈空気〕の合計が常に一定値になるように臨界流ベンチュリを介して吸引ブロワーで混合ガスを吸引します。さらにベンチュリに入る希釈ガスの温度をコントロールする熱交換機や温度、圧力を計測し、それらからモード試験中の希釈ガスの総流量を演算で求める機能等を備えています。
トンネル内で均一に混合されたガスの一部を一定流量で吸引サンプリングし、それを捕集フィルタに通すことによりPM分のみをフィルターに捕捉して、試験前後のフィルターの重量差並びにトンネル総流量と捕集サンプリング流量の比等からPMの総排出量を計算します。なおPM中に含まれる有機成分が蒸散しないようにフィルター表面温度が52℃以下になるような条件で稀釈する必要があるため、排気ガス量の多いディーゼル車の場合には2段階で稀釈する方法も使われます。
ディーゼル排出ガス中のCO,HC,NOxの測定は、この稀釈トンネルから捕集した稀釈ガス濃度と稀釈流量からガソリン車の場合と同じ方法で計算します。