路面上のタイヤ変形
ローラ上のタイヤ変形
曲率のあるローラ上と平坦な路上では、タイヤの変形状態が異なってきます。その状態で回転すると、ローラ上と路上ではタイヤ抵抗、すなわち車の転がり抵抗に違いが生じることになります。この影響を補正して路面での抵抗値に換算するために、JASO E015では以下に示すClark式を用いることにしています。
平坦な路上での転がり抵抗
シャシダイナモローラ上の転がり抵抗
ここで、Rローラ : シャシダイナモのローラ半径
    Rタイヤ : 試験車のタイヤ半径
タイヤ転がり抵抗の平坦路補正量ΔL
 ΔL=(Kー1)×(a+bV) 
      K:路上相当補正値 ・・・Kは以下のClark式で計算します。
   
 平坦な路上と曲率を有するローラ上では、タイヤの接触面の形状の違いがあり、それに伴ってタイヤ変形に違いが生じます。すなわち回転体の曲率影響を受けます。このことによってタイヤの回転抵抗、つまり転がり抵抗に違いが生じる可能性があります。そこで路面とローラの曲率影響の違いを補正するために、ローラ径とタイヤ径の値を用いたClark式(下記)を用いて、ローラ上の回転抵抗のうちのタイヤ部分の抵抗値を補正し、平面路上での抵抗値に換算します。
ステップ3-基準車との台上ころがり抵抗の差から派生車の実路上の目標走行抵抗を計算

派生車の台上ころがり抵抗ー基準車の台上ころがり抵抗

 =両方の車両のころがり抵抗の差
 次にこの基準車と派生車(複数台でも可能)の転がり抵抗の差分を4WDシャシダイナモメータ上での惰行試験によって測定します。この惰行試験での空気抵抗分は、両方の車とも基準車の空気抵抗の値を設定した上で行いますので、基準車と派生車のシャシダイナモメータ上での抵抗の差は、派生車の転がり抵抗の違いによってもたらされたものとなります。
 なお、4WDシャシダイナモメータでは、車両の飛び出し防止など安全上の配慮から、試験車の前後に張ったチェーン等によって車両を拘束する必要があります。ただこの拘束条件(例えばチェーンの取付け位置や角度、チェーンの張力など)が異なっていると、台上走行中に車両固定装置側からの拘束力とタイヤの回転力の関係によって試験車に余計な負荷が作用してしまい、タイヤの回転抵抗が変化してしまうことがあります。そのため車両の拘束方法や拘束条件は、基準車と派生車の両方の試験で可能な限り同一になるようにする必要があります。(JASO E016参照)
ステップ2ー基準車と派生車の転がり抵抗の差分を4WDシャシダイナモ上の惰行試験で測定
派生車両の走行抵抗算出の手順
  テストコース惰行試験を行うことなく派生車両の目標走行抵抗を算出する具体的手順を以下に説明します。
 
 
 

 

 まず派生車の構造のベースになった基準車の目標走行抵抗を従来通りテストコース上での惰行試験により求めます。この基準車の測定結果がすべて派生車の目標抵抗算出の基礎になりますので、基準車の惰行試験はできるだけ環境条件が安定している日時を選んで実行することが望ましいといえます。なお、テストコース上での惰行試験の規定では、試験実施時の環境条件(気温、気圧、風速)を測定しておき、惰行での測定結果を標準の環境条件(20℃、1気圧、無風)の値に補正します。これによって基準車の目標走行抵抗が定まるので、それを燃費や排出ガスの試験(モード試験)の前にシャシダイナモメータに設定することになっています。
 この目標走行抵抗Fは、F=a+bV+cV2 のように車速の2次式で近似させて、その係数a,b,cの値をシャシダイナモに設定します。
ステップ1ー基準車の目標走行抵抗のテストコース測定

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技術解説

技術解説ーシャシダイナモメータによる車両評価(Part2)ーシャシダイナモ続編版
    
    シャシダイナモメータを用いた派生車両の走行抵抗算出方法3
                                        シャシダイナモ試験をJATAに委託するには
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