装着タイヤのみが異なっている派生車の走行抵抗をこのタイヤ単体シャシダイナモメータで求める際は、次の方法で行います。まず上図のタイヤ単体シャシダイナモメータに各派生車で装備されるタイヤを取り付けます。またその車の前後の軸重相当の力をタイヤ荷重条件としてこの試験機に設定します。これは試験タイヤをローラ面に垂直に押し付ける力を調整する機能です。続いて各タイヤの回転抵抗を前輪条件と後輪条件のもとで個別に測定します。このタイヤ単体シャシダイナモメータは、慣性抵抗制御が可能なので、前輪条件と後輪条件でのタイヤ抵抗を個別に惰行試験を行うことによって測定します。つまり車両試験を行う通常のシャシダイナモメータと同様な方法が使えます。
このタイヤ試験は、派生車用のタイヤと基準車に装備されたタイヤの双方について行い、各タイヤの回転抵抗を求めます。このような試験の結果から、基準車に装備されたタイヤと派生車に装着されるタイヤでの4輪分合計の回転抵抗を求め、その差分を求めると、それが基準車と派生車の転がり抵抗の差となります。後はこれまでと同様な差分測定法の計算方法によって、各派生車両の転がり抵抗が求められるので、各タイヤを装備した派生車の目標走行抵抗を算出することができます。
基準車と派生車の違いがタイヤだけの場合は、下図のようにタイヤ単体での比較試験により派生車の走行抵抗を求める方法も使用できます。なおこの時のタイヤ試験は、試験車を想定した惰行試験を行う機能を備えたタイプ、すなわちシャシダイナモ的な機能を備えたタイヤ試験設備(タイヤ単体シャシダイナモメータ)が使用されます。
このタイヤ試験機(下図)は、前後それぞれの軸重条件及び車両の慣性抵抗を試験タイヤに与えることができ、実路走行時と等価な条件で惰行試験が行える装置です。なお、前後輪のタイヤ軸重条件はそれぞれの派生車の条件に応じて個別に設定することになるため、前輪用と後輪用の各条件で2回に分けて試験を行います。
このタイヤ単体シャシダイナモメータについての詳細は、
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