ガソリンエンジンでは、正確な空燃比制御と浄化能力の高い三元触媒を組み合わせた極めて効果的な排出ガス浄化技術が開発され広く普及しました。しかしディーゼルエンジンの場合は、空燃比の使用範囲がガソリンエンジンよりさらに薄い側で使われることが一般的で、三元触媒によるNOx低減技術が使えませんでした。また燃焼の制御によって有害物質であるNOxとPM及びCO,HCの生成を抑止する上では、排出ガス成分によって二律背反の問題が生じるために、規制対象の有害物質を同時に低減するには大きな技術的障害がありました。
しかし大気汚染防止対策の面から、トラック・バス等で多く使われるディーゼル車の排出ガスを低減することは社会的要請となりました。これに対応するため、下の図の①~③の要素を組み合わせたディーゼル排出ガス浄化技術が開発されてきました。これらは図中に示すように相互に関連し、影響し合いますので、技術開発はより複雑で困難なものとなります。しかし自動車メーカー、部品メーカー、燃料メーカーの絶え間ない開発努力の結果、最近ではガソリン車並に排気がクリーンなディーゼルエンジンが実用化され市販されるようになりました。