これらの制御機構は、NOx還元のためのリッチスパイクを供給することのほかに、

硫黄非毒の回復再生にも使用される(この目的の時はより長時間のリッチ化を行う)

リッチスパイクを発生させる方式

・触媒へのNOx吸蔵が飽和に達すると、それ以上は吸蔵できなくなりNOxの放出を招くため、時々還元状態(リッチ状態)を与えて還元剤と反応させることで、NOx吸蔵をリセットする必要がある。

・NOxを還元する際は、触媒内で酸素の少ない状態(空燃比リッチ状態)を作り出す必要ある。

・しかし触媒でのNOx吸蔵量が飽和に近づくことを直接検知できる技術は今のところ存在しない。そこでエンジン運転条件から触媒内へのNOx流入量を推計し、その履歴から、リッチスパイクのタイミングを決定する方式が多い。そのためスパイクのタイミングが狂うと、NOxの浄化機能の低下を招くことになる。

・最近はNOxセンサを利用して触媒の反応制御に活用するエンジンも増えている。

還元剤の供給における技術的課題

NOx吸蔵還元触媒の能力を有効に活用する上で、

①硫黄被毒による性能低下を防ぐ観点から、低硫黄軽油を使用することが前提になる。

②NOx吸蔵還元触媒の吸蔵能力や還元反応性を高めるためには、NOx吸蔵触媒の上流側に酸化触媒を配置して、NOをNO2 に変換しておくのが有効

連続的にNOx浄化効果を発揮させるためには、排出ガスの「温度ウィンドウ」域を一定温度以上に維持することが必要になる。

ただし、触媒にNOxを吸蔵するだけの機能は、低温の状態でも可能である。

*吸蔵特性:
  触媒に吸蔵されやすい成分は、

    SO2 > NO2 > NO の順となる

NOx吸蔵還元触媒の作動温度特性

<長所>

 ガソリン車とは異なってディーゼル排気中には酸素が多く存在するのが一般的であり、これが三元触媒システムが使えない原因になっている。しかしこのようなディーゼル特有の排出ガス雰囲気下においても、NOxの低減が可能である。

 <短所>

・ 触媒でNOxの還元反応を起こすために必要なリッチスパイク(触媒の前段に還元剤を適切なタイミングでスパイク状に投入する制御)を組み込む機構が不可欠であるが、走行条件に応じて制御する方法が複雑になる。

・ リッチスパイクの与え方次第で、触媒内のNOx吸蔵状態とタイミングがうまく整合しなくなると、NOxの大幅な増加につながりやすい。

・ NOx吸蔵触媒は、熱や硫黄の被毒に弱く、劣化しやすい特性があると言われている。

(1) NOx吸蔵触媒 (LNT:Lean NOx Trapper)

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技術解説

技術解説ー有害排出ガスの浄化技術について7

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