6.2 車両拘束力の働く方向がタイヤの回転抵抗に及ぼす影響
後輪側のタイヤとローラの回転方向にずれが生じる可能性がある。
ヨーモーメントにより車体にZ軸まわりのねじり力が作用している時のタイヤとローラの回転方向の関係
JATAが実施したシャシダイナモ実験の結果、横方向の力のバランスを優先したチェーン張力の設定のもとでは、実際にころがり抵抗が悪化していることが確認されました。
 (次ページ参照)

さらにヨーモーメントによるバネ上車体の位置移動でローラ上のタイヤに横力が加わって、タイヤの変形抵抗が増加する。これらは走行時に余分な仕事をエンジンに要求することになるので、モード燃費の悪化につながりやすい。
前後のチェーン張力と作用点の位置ずれによって、X,Y,Z方向の変位の他に、車体をZ軸回りに曲げるヨーモーメントが作用することが予想されます。なお上図に示すMax Fは、車両駆動輪が発生する最大推進力であり、特に急加速条件において大きな力が発生します。
 この拘束方法では、左右(進行方向と直角)方向の力のバランスは取れていますが、車両側の拘束点の位置が車両の前後でずれがある時には、前後の各チェーンの合力が車体をねじる方向に作用してきます(下図参照)。これにより車体側からタイヤをねじる力、つまりヨーモーメントが作用するので、特に操舵機構とつながらない後輪側ではタイヤとローラの回転方向との間に微妙なずれが生じやすくなります。その結果、ローラとの間で摩擦損失が増加することが考えられます。また車体のねじれにより、タイヤに横力が作用することでタイヤの変形態様が変化したまま回転して損失が増加します。それらの結果、タイヤの回転抵抗すなわち車両の台上ころがり抵抗が増加すると考えられます。
 

横方向の力のバランス重視とは 

(1).チェーン張力の設定方法の影響
①横方向の力のバランスを考慮して各チェーンの張力条件を調整する場合

左右のチェーン合力の方向が車両の進行方向の向きになるように、チェーン角度に応じて左右のチェーンの初期張力を設定する方法です。

 
 チェーン拘束する作業では、チェーンをかけ終わった後に張力条件を決めて設定する必要がありますが、どのような張力値が適切なのかといった明確な判断規準は特にありませんでした。ちなみにモード走行の加速の際は、駆動輪が発生する力に対抗するため後ろ側のチェーンに大きな反力が生じ、これがチェーンの初期設定張力に相乗して車体の拘束点に加わるので、より大きな力が車体側にかかってきます。この時に車体側の拘束点が左右非対称の位置に配置されている場合には、車体をZ軸周りにねじる方向のヨーモーメントが作用することが考えられます。ここでは、2点クロス配置型の車両拘束を例に、前後チェーン張力及びチェーンの張り角度によって車両の転がり抵抗が影響を受けるメカニズムを解説します。
 


 

           



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